紫色の結晶は、宝石みたいだ。

 今にも雨が降りそうな暗い陽の光の中でも、妖しく輝いている。

「……キレイだな……」

 いろんなヒトの思いが詰まった。

 飲んだら危険なこの薬を。

 そんな風に表現しては、いけないのかもしれない。

 だけど。

 本当にある宝石と同じ名前を持つこの薬は。

 他に何にも表現が出来なかった。

 わたしは、そっと。

 加藤先輩が、パケ袋って呼んでた透明な小袋から、アレックスを取り出した。

 ……雫の首飾りに移すつもり………




 ………ではない。



 ……




 ……わたしが、飲んでみたかったんだ。