「紫音さんと同じ、目が欲しくてさぁ。
 風邪薬をバラして、やっとここまでにしたのに。
 紫音さんとオカマにバレて、おとといは、散々怒られたんだ。
 ずっりぃよなぁ。
 自分たちばっかりカッコつけやがって。
 しかも、薬を止めるにも、だんだん、量を減らしていけ、だって。
 面倒くせーコト言われるし………」

 ぶつぶつと口の中で、文句を言う先輩に、わたしはちょっとだけ、ため息をついた。

「アレックスのコトは、薫ちゃんに言われた通りに、したほうがいいよ?
 昨日。
 紫音は、薬を持ち歩かなくて……倒れちゃったんだもの……
 わたし、その場にいたけれど……
 すごく、苦しそうだったよ?」

「マジ?
 どうりで今日は、村崎先生を見かけないと思ったよ」

 先輩は、がしがしとアタマを掻いた。

「……ん、で?
 俺に、何の用?」

「……それで……
 本当に悪いんだケド……
 そのアレックスを一つ、分けてもらえないかな……って、思って」

「あああ?」

 わたしが言った途端。

 加藤先輩の眉間に深々とシワがよった。