「アレックスは……制咳作用もある。
 近所の薬局でも、絶対中毒にならないくらい、極少量なら。
 せき止めとして風邪薬に入ってる、合法……いや、脱法ドラッグだ。
 飲んでも、ヒトに勧めても……罪には、問われない。
 ……今のところは。」


 薫ちゃんは。

『お医者さん』の顔を取り戻して、淡々と話そうと、努力していた。

「しかし……
 多幸感……幸福な気分を得られたり、媚薬の代わりになるくらい皮膚感覚が鋭くなるかわりに。
 どんな状況でも、絶対抗えないほどの強力な眠気に襲われる。
 ……紫音の限界時間って言うのが、コレになるな……
 それに……
 急に、たくさん飲んだり。
 一度完全に中毒を起こしたヤツが、無理に止めようとすると………
 ……激しく、苦しい、ケイレン発作を起こす……厄介な薬なんだ………」

「……そんな……!
 じゃ……紫音……は……!?
 紫音は、これからどうなっちゃうの………!?」




 もし、このまま、一生………





 紫音が。




 こんな……




 こんな薬に捕らわれてしまうなら。






 わたしは。





 薫ちゃんを、許せない………






 例え。





 どんな事情があったとしても…………!!