「それ……注射!?
 か……薫ちゃんが打つの!?」

 薫ちゃんがとり出したのは。

 ものすごく太い、注射器だった。

 小さな子が良く飲むような、乳酸菌入り飲料ぐらいの直径がある。

 ……しかも。

 中身は、いかにも合成着色料で染まったような、けばけばしい、赤!

 なのに。

 薫ちゃんは、当たり前みたいな顔して……

「そうよ?」

 とか、言いながら長細いチューブの先に、虫の羽のような持ち手のついた針を紫音の腕に……


 うあぁぁぁっ!

 まてまてまてまて!!


 わたしは、必死で、薫ちゃんを止めた。

「や、やめようよ!!!
 いくらなんでも、ヤバイよ、それ!
 ちゃんと、お医者さんに見せようよ!!
 そんなの打ったら、紫音、死んじゃう!」

 思わず、涙目になって止めるわたしに、薫ちゃんは、目を見開き……

 ……そして、ふっと微笑んだ。