「今日は、そのペンダントはしてないよ?」

『……!』

 わたしの報告に、今度は、薫ちゃんが、言葉を詰まらせた。

『こ……ん、の莫迦紫音……!
 じゃあ、そんな風に倒れるのも、当たり前じゃないか!!!!』

「か、薫ちゃん?」

 完全に怒っているらしい。

 薫ちゃんは、ひとしきり怒鳴ったあと、謝った。

『ごめん。
 春陽は、悪くないのにね。
 ……原因は、わかったから大丈夫。
 今、春陽達がいる場所は?
 ……そう。
 だったら、三十分以内についてみせるから、春陽はもう少し頑張って?』

「か……薫ちゃん……」

『だから、大丈夫だって。
 いい?
 ケイレン発作中は、刺激するといけないの。
 部屋の照明を落として、静かにしてて?
 心配だろうけど、紫音の身体を揺すったらダメよ?
 耳元で名前を呼ぶのも止めて待っててね!』

「わ……わかった……!」


 薫ちゃんは。

 他にもいくつか、てきぱきと指示を出して、電話を切った。

 急に静かになった部屋に。

 紫音の苦しげな、うめき声だけが響く。



 紫音……!




 頑張って!





 もう少しで薫ちゃんが来るから……!