紫音は、無意識のまま。

 かけられた布団をがつちり掴んで、カラダ全体が震えるほど力を込めた。

「う……あ……」

 食いしばった口からもれる声は、苦しそうで。

 ……苦しそうで……!


 眠っているうちに、悪い夢でも見ているのかな、と。

 揺すって起こそうとしたら……

 紫音のカラダの震えが余計にひどくなってしまった。




 どうしよう!

 どうしよう……




 このままじゃ、ダメだ。

 病院に、連れていかなくちゃ……!

 救急車!?


 どうしょう!

 救急車なんてモノを呼んだコトは、今までに、ない。

 でも、出来ない、なんて言っていられなかった。

 ベッドの脇にある備え付けの電話に、手を伸ばそうとした時。

 紫音の携帯をずっと握りしめていたことに、やっと思いだした。


 そ、そうだ!

 薫ちゃんに、連絡しなくちゃ!

 紫音は、騒がないで、薫ちゃんにって、携帯をわたしに預けたんだった!

 きっと、こんなコトになるんじゃないかと、自分でもわかってて……!?