「紫音?
 大丈夫……?」



 ……わたしの声に、紫音は、返事をしなかった。


 ……眠っているから。


 ううん。


 これって……本当に、眠っている……だけ……?





 紫音は、震えていた。







 瞳は、固く閉ざされたまま。

 青ざめて、寒そうに歯をかちかちと鳴らしている。

 わたしにとって、ホテルの室温は、ちょうどよく。

 そんなに、寒い感じはしないのに。





 ……無理をして、風邪でも引いちゃったのかな?





 高い熱でも……出るのかな……?





 わたしが、慌てて、紫音に厚い羽根布団をかけた、そのとたん。





「う……あ……ああああ……っ!!!!」




 紫音は、傷ついた、獣のようにうめいたかと思うと。

 身体を大きく、のけぞらせた。



「し、紫音!!」



 どうしちゃったの!

 何が……何が起こったの……!?