時々街で見かけるような。
けばけばしいラブホなんかじゃない。
五つ星のレストランの入っている、豪華なホテルの部屋に着くと。
紫音は、崩れるように、ベッドに倒れ込んだ。
「紫音……!」
心配で。
倒れた、紫音を覗き込むと。
彼は疲れた顔をして微笑んだ。
「大丈夫だ。
多分、一時間で起きられる。
しかし……
一人で待っているのは……
……つまらないかもしれないな……
嫌だったら、先に、帰れ。
家に……送れなくてすまないが」
「そんなこと……!
わたし、待ってるから。
大丈夫。
紫音は、ゆっくり眠って?」
「……ありがとう……」
わたしの言葉に。
紫音は、嬉しそうに微笑むと。
その目を閉じかけ……思い出したように、無理やり目を開けた。
「……多分。
何も起こらない。
しかし……
もし、一時間半を超えてもオレが起きなかったり……
……他になんか変なコトがあったら……
変に騒がず……
……薫に連絡をとって欲しいんだ」