「ぎやははははは!
 おかしいぜ!
 女を落とした数では、死ぬほど伝説とやらをぶち立てた、あの『紫音』の正体が、よりにもよってウチの『村崎』かぁ!?
 あのダサい村崎が、デコっただけで、どれだけ変わるのかしらねぇが。
 村崎が、この街一なら。
 俺は日本一。
 いや、世界一のホストだ!!!」

 この世界も、サッカーと同じで、たいしたことねぇな、と加藤先輩は、嘲う。

「これで、昨日の話も、納得がいくぜ。
 だから村崎は屋上にお前を助けに来たんだろう?
 守屋と、デキていたから、村崎はあんなに怒ったんだ」

 言って、加藤先輩は、わたしの腕をぐぃ、と掴んだ。

「見かけによらず、守屋は、ヤルねぇ?
 ……ナニが、初めて好きになりました、だよ。
 二股の相手に俺を選んだのか?
 いい根性してるぜ。
 もちろん、俺はお前なんか、どうでもいいから振ったんだけどさ」

「ちがう……!
 ちがうわ!」

 わたし、そんなんじゃ……

 悲しくて。

 悔しくて。

 ……涙が出てきそうになった。

 それでも、加藤先輩は、追い討ちをかけるように笑った。

「どう、ちがうんだよ!」