チャイムが鳴った瞬間に
檀上、黒板の前に立つ祐那。


「はいはーい、今日担任が居ないので、出席とりまーす」



ざわざわざわ…


「なんでー?清水ちゃん、居ないの~?」


だから居ないってんだろ!
と、心で叫ぶ

ふりしぼって

「ねえ、」


ざわざわ


もう一度

「ねえみんな。」



ざわざわざわざわざわざわ…


ピクリと顔の表情が変わりかける

「聞いて…!」



誰も祐那の話しは聞かない。
こんなに大勢いるに、30人はいるのに
誰一人、祐那を観ていない




「委員長、いいよー
全員いるってことで




あ、大内いねえや、
星野も
いいよーめんどくせー


全員



いるってー」




……なんだよそれ。
口々に適当なことを吐く
男子。


「昨日さあーバイトでね」



……暇な時間の
意味のない自慢話に盛り上がる女子。


ピ―――――という何かが振りきれそうな音だけが
頭の中を貫いた。


バーーーーーーン!!


気付いたら、出席簿を
天井にぶつけていた。



バサ…っと、運よく祐那の足元におちている出席簿。