ここに来るといつも感じることだが、先生の研究室だけがある一時点でぴたりと時間が止まってしまったようなのである。

時間の中に閉じ込められて、外の世界とは切り離されてしまったような、そんな感覚に陥る。


「はい、どうぞ」



先生はテーブルにコーヒーを置いてくれた。



「ありがとうございます」



先生はテーブルに肘をつき、両手を組んで口元に微笑を浮かべていた。

先生がよくやる姿勢である。

その姿勢のせいか、先生の身体がいつもより小さく見える。