「美雨ちゃんが覚えてないのは、まぁ…しょうがないと思うよ。
会ったのは、ほんの数分だし…」
数分…
そして、渋谷くんは
「蓮は二年間、ずっと片想いしてたんだよ。
美雨ちゃんに…」
ドクン
と、胸が鳴った
「蓮は美雨ちゃんに会った日から毎日、美雨ちゃんを捜してた。
いくら捜しても見つからなくて…
それでも、蓮は捜し続けたんだよ」
二年間も、ずっと
私を捜してた?
〜♪〜♪〜
「あ、俺だ…」
渋谷くんは携帯を取り出し、通話ボタンを押した
「蓮か。…おー、分かった。じゃ、駅に集合な」
通話を切ると、渋谷くんは
またね
と、一言だけ言って、帰っていった
私の頭の中は、渋谷くんの言葉でいっぱいだった
――二年間、ずっと捜し続けてたんだよ――
じゃあ、告白してきたあの日は
やっと私を見つけたって感じだったのかな
だから、あんなに必死だったんだ
私が男嫌いだって、初めて気づいた人
でも、信じちゃダメだ
そうやって信じて、裏切られてきたんだから
私は強く、そう誓った
「明日の野外バーベキューの買い出しですが、各班の担当がお願いします」
えぇー…
買い出し、私なんだけど…
今はホームルーム
学校の行事で、バーベキューをするんだって
その買い出しの担当が、私…
しかも一人って、おかしくない!?
「真理ー…」
「無理。頑張って」
つ、冷たいっ…
「美雨がジャンケン弱いからいけないんでしょ」
「うっ…」
「なんでー?付き合ってよー…」
「無理。今から悠くんと遊ぶから」
「えー……」
そっか、渋谷くんと…
………ん?
渋谷くん…?
!!?
「渋谷くん!?」
「うん」
「い、いつの間にっ…!?」
しかも、呼び方が
悠くん
に変わってる!!
「美雨が秋本くんをほったらかしにしてる間にね」
マジですか…
てか、
「ほったらかしてないんだけど」
だって、そういう条件なんだもん
「ほったらかしてるって」
「違うもん」
「あ、悠くん待たせてるから。じゃね」
真理はそう言って教室を出ていった
いつの間に、渋谷くんと いい感じになったんだろ…
まぁいっか
真理が幸せなら
……私みたいに、あんな思いしなくて済むのなら…
……やだやだ、もう忘れないとね
「よしっ」
私は買い出しをするために、学校を出た
「えっと…豚肉、牛肉、ソーセージ、レタス…」
私は学校の近くにあるスーパーに来ていた
「なんでこんなに買わなきゃなんないのっ…」
多過ぎ!!
しかも、量がハンパない…
「あとは…焼肉のタレと、焼きそばと…」
……ない
焼肉のタレって、どこにあんの!?
あんまり買い物とかしないから、何がどこにあるのか…
「どこー…?」
お店の人いないんだけどっ
キョロキョロと、立ち往生していると
「……なにしてんの?」
不意に、聞き覚えがある声がした
振り返ると
「蓮…?」
蓮が、片手に買い物袋を手に持ち、もう片方の手をブレザーのポケットに入れて立っていた
「…そっちこそ、なにしてんの?」
「見りゃ分かんだろ。買い物」
蓮は持っていた袋を私に見せた