「まあ、颯が俺の大変さを分かって、わがままとか言わないからな。友達ん家で飯食ってくるのも、俺に少しでも楽させたいからだって言ってたのを、颯の友達に聞いた」




それから蓮は

“可愛いやつだろ?”

って、笑った



優しいお兄ちゃんだね



蓮だから、颯くんもそう思うんだよ









もっと蓮が好きになったよ



「そろそろ帰るか」

「うん、そうだね」



帰りの支度をして、蓮の家を出た





空には、星が光っていた



「あ…忘れてた」



蓮が突然、なにかを思い出したように言った




「?どうしたの?」


「来週、悠がダブルデートしねぇかって。行くか?」




ダブルデート?


「行きたい!」

「じゃ、来週の日曜日な」

「うん!」




やった!

初デートだ!








何着て行こうかな



真理と買い物行こうかな




それから私の家について、別れ際に軽く蓮にキスされた




ビックリしたけど、嬉しかった



楽しみだな、デート♪






「おっそーい!」



待ち合わせ場所に行くと、すでに美雨と真理ちゃんがいた。




「わりーわりー!蓮が遅くてさ」


「お前がずっと服選んでたからだろ。俺のせいにすんな」




誰がずっと待ってやってたと思ってんだよ




「蓮…」




気づいたら、美雨が俺の隣にいた




………やべぇ



可愛いんですけど





いつものストレートの髪はアップにしていて、つなぎの上にパーカーを羽織っている




「美雨」

「ん?」




俺はそっと美雨に耳打ちした






“めちゃくちゃ可愛い”







ってな






みるみるうちに、美雨の顔が赤く染まっていく




「ば、バカ…っ」




そう言って、うつむいた





可愛い奴





「ほら、行こうぜ」


「うん////」





俺達は、手を繋いで歩きだした







「今日、どこ行くの?」


「さぁ…?悠が決めるからな」





美雨は納得したように頷くと、


楽しみ


って、笑って言った




そんな美雨の頭を撫でた



「個人的に、水族館行きたい」


「じゃ、水族館は今度二人で行くか」


「うん、行きたい!」





また楽しみが増えたな






しばらく歩いて着いたのは



「着いたぞー!映画館!」




映画館て…

ありきたりだな…



「最初映画観て、そのあとショッピングな♪」




…ま、アイツなりに色々考えてきたんだろう




「なんの映画観るのかな?面白そうなのやってるかな」




美雨も楽しそうだからいいか





四人で映画を観た

恋愛ものだったんだけど…





「なんでお前が泣いてんだよ…」


「うっさい!泣いちまったんだからしょうがねぇだろ!」




悠はなぜか号泣




「ほら悠、ハンカチ貸してあげるから」


「サンキュー、真理」




真理ちゃんも大変だな








「れ、蓮……っ」



隣にいる美雨に袖を引っ張られた



「み…!?なんで泣いてんの?」




美雨まで泣いていた




「だ、だって、男の子が可哀想でっ……付き合ってる子が他の子のとこに行っちゃうんだもんっ…」




美雨って、こんなに感情豊かだったか?



男嫌いだったからか




「蓮っ!!私は蓮から離れないからね!!」




涙目で真っ直ぐに俺の目を見て美雨は言った





か、可愛っ…


こいつ可愛すぎ




「ん、そうして。俺が困るから」




美雨を手放す気もねぇけどな









「そこー、ラブラブしてねぇで早く行くぞー」




悠が呆れたように声をかけてきた




元はと言えば、お前が泣いてたからだろうが



ったく…




「今行く」




俺はまだ泣いている美雨の手をとって、前を歩く悠と真理ちゃんの後をついて行った





それからショッピングモールで買い物をした



美雨の服を一緒に見たり、俺の服を見たり



悠の我が儘に付き合わされたり…




とにかく、楽しかった