「お父さん、11月に大阪に転勤するの。」


『だから?』

「10月の後半には……引っ越しの準備しときなさい。」




引っ越しすることは
何となくわかっていた。


前日、夜遅くに親が話し合ってたのを聞いてしまっていたから。


《修一と隼飛は受験も卒業もあるから…申し訳ないな。》

《何とかならないのかしら…》

《でも、社長直々に言われたんだ。仕方ないだろ。》

《仕方ないで済まされないわよ。修一はあの縦浜から推薦も来てるのよ。》

《でも、子供達を置いてくわけにもいかないし、聖弥の稼ぎだけじゃやってけないよ。》

《そうよね………はぁ。》



もう知っていた。



俺は綾野中学校の卒業式すら出れないんだと。