ドラマがクランクアップした。
私は、すぐに日本へ帰国した。
そして、社長に家の事情を話して、休養をするか拠点をアメリカに移して欲しいと頼んだ。
「ダメよ。あなたに今、とってもいい仕事がきているの。あの相田監督からオファーがきているの。主演よ!監督が直々に夏川杏子と指名したのよ。杏子の実力だったら、アカデミー主演女優賞も狙えるかもしれないの。」
相田監督とは、映画界の大巨匠
自分で物語を作り、脚本を書く。
出演者は必ず、すべて自分で決める。
相田監督は、納得する出演者がいなければ、映画を作らない。
だから、過去に作られた映画の数は3本だけなのだ。
どの作品も必ず、世界的に認められて、なんらかの賞を必ず獲得する。
本当にすごい人なのだ。
まさか、そんなに大きな仕事が私にきていたとは思わなかった。
『仕事をやってみたい』と素直に思った。
でも、『お姉ちゃんの側にいたい』と思う気持ちが大きかった。