よりによって見つかってしまうなんて。
私は盗みをはたらいた。
道端に酔い潰れた
馬鹿な浪士共がいたから。
それだけだ。
別に初めてのことではなかったし
見つかるなんてこれっぽっちも
思ってなかった。
そんなヘマをするほど
鈍くさくはないはずなのに。
「あうっ!」
私は激しく転倒した。
ああ、今日はついてないな。
細い道になんて入るんじゃなかった。
なんでこんなに
木片が転がってるんだよ。
「ついてなかったな、女。
よりにもよって俺達から
金を盗ろうなんて」
ぐい、と汚い手で上を向かされる。
酒くさい臭いが鼻を突いた。