『……ぅっ…っ。』

ドアの向こう側から微かに聞こえる

今にも消えてしまいそうな声。


どうすれば良いのか分からない俺は、

ただドアの前に佇むことしか出来ない。


……橘羅伊なら、ラルの兄貴なら。

ラルをどう慰めるんだろうか。

それともラルは、

実の兄にも悩みを打ち明けないか?


……………くだらないな。

俺は俺なのに。

ラルを助けると決めたのに。


なんで人のやり方を気にしてる?

俺は俺のやり方でラルを助ければ良い。


《ガラッ》

意を決して、ドアを開けた。