宛もなく走らせる車。

何を話す訳でもなく、ただ眠いと言う君と、その言葉にスピードを落とす私。

ブレーキにだって気をつけるよ。君が眠れるように。


眠ってもいいよ、会話は無くていい。

ただ、傍にいたいだけ。



「ふわぁ…」


不意に聞こえたあくび。ちらりと助手席を盗み見ると、目が閉じてしまいそうになりながら、ウトウトする君の姿。


「そろそろ帰ろうか。」

「や、まだいい。」

「でも、あくび。」


そう言ったら、また君が欠伸をした。


「勝手に出るだけ。」

「勝手にって…ふぁ…」

「ふっ…欠伸。」


ニヤって笑って、目線を私に投げかける君。


「私眠くないもん!あくびってさぁ、うつるよね。なんでだろう?」

「移る移る。それはさ…」


言ったそばから自分もしてしまった為、ごまかす様に零した台詞に、思いがけない仮説を持ち出してきたのは君。