いつかのように手を捕まれ引っ張り上げられていた。

「何やってんだ…。」

「すみません…。」

体勢を戻してカルサの横に並ぶ。

恥ずかしさと情けなさとでなかなか顔が上げられないリュナにカルサが言った。

「キオに話すような気持ちでいたらいい。あの時気付いていたんだろう?」

カルサの言葉にリュナは瞬きをした。

そして苦笑いを浮かべ指で頭を掻く。

「はい。」

「あの時の気持ちに戻ればいい。俺もそうする。」

意外な言葉にリュナは顔を上げた。

「キオになる、ということですか?」

「まあ近いな。」

カルサが微笑んでいる。

心なしか、シードゥルサを出てからカルサの雰囲気が変わったような気がしていた。

切り替えようとしているのか、切り替わっているのか、どちらにしてもカルサの構えが変わるということにリュナは気付いた。