「あの、その…。」

「怒らないから言ってみろって。」

「はい…。」

カルサの目が見守るように優しい。

リュナは掴んだままの手を見つめ、震える気持ちを深呼吸で整えた。

「カ、カルサ。」

一生分の勇気を振り絞って名前を呼んだ。

自分の中だけでも呼び捨てなんかしたことがないのに、本人目の前で口にするなんて卒倒ものだ。

「良し。戻すなよ?」

真っ赤なリュナに対し、カルサは何とも思っていないようだった。

敬語を無くしたことに納得するとカルサは立ち上がる。

また歩き出す、それが分かったリュナも立ち上がった。

しかし緊張しすぎて酸欠になったのか足がもつれて倒れてしまう。

そしてまた服をおもいっきり引っ張り、カルサも巻き添えにしてしまった。

「わっ!」

「馬鹿…っ!」

手を着く前に身体が宙に浮いてリュナは目を開ける。