カルサの呼びかけに二人の声が重なる。

カルサは身体ごと二人と向け、それを合図に千羅は英琳の横に並んで片膝をついた。

「覚悟を決めた。」

体勢を変えないまま、英琳は表情で何をと問いかける。

今更彼に何の覚悟が必要なのか。

しかし千羅は思い当たる節があり、まさかという表情を見せた。

「あいつを巻き込む。」

「風神を、ですか?」

「そうだ。」

「全てを話すと?」

「いずれはな。」

巻き込めばいつか耐えきれない程の重荷となってリュナを苦しめるだろう。

先が分かっているだけにカルサはなかなか踏み出せずにいたのだ。

黒竜の件でも大いに迷惑をかけてしまった、これから先はあれの比じゃない位の危険な戦いが待っている。

正直、カルサには守りきれる自信がなかった。

「英琳、千羅。頼む、俺に力を貸してくれ。」

突然の面と向かっての申し出に、二人は一瞬固まってしまった。