カルサも目を細めた。

複雑な思いが身体中を駆け巡っていく。

答えなんて最初から分かっていても、悩まずにはいられなかった。

「もう太古の因縁が動きだしているのは間違いない。早急に動きを見なければ。」

窓の向こうには満天の星空。

カルサは左手をかざし、まるで月を撫でるように手を動かした。

こうしているだけでも思い出される記憶は多く、溢れ出てくるのは真剣な想い。

いつもあるのは、この気持ちだけだった。

「この国だけは譲らない。何があっても守ってみせる。」

この国、シードゥルサはカルサの全て。

友情も愛情も、誇りもプライドも居場所も全てがこの国にある。

絶対に巻き込まない。

自分の呪われた人生を恨むのではなく、それに負けない強さを手に入れる事を過去にカルサは選んだ。

戦う覚悟なんて今更必要はない。

「英琳、千羅。」

「はい。」