「あれだけの時間をかけてもらったのに、すまない。」

軍隊の遠征の第一目的は結界を張る事だった。

大地からのエネルギーが高い場所を探し、そこに結界石を埋め、それを媒体にして結界を張っていく。

結界士の聖と紅奈の特務だった。

「場所は分かっとるさかい、今度はそない時間はかからん。きっと俺らの作り方が悪かったんや。すまん、完璧にする。」

頼もしい言葉だった。

結界は集落ごとに張られ、最終的には城を中心とした大きな結界になるように設計されている。

完璧に仕上げれば、カルサ不在の間の立派な防御壁になる。

そしてこの先の大事な守りにもなる。

「聖、俺は暫く留守にする。」

「珍しいな、どないしたんや?」

「雷神としてやるべき事があるんだ。留守中、国の守りを頼んだぞ。」

カルサの真剣な目はまっすぐ聖を捕らえた。

強い意志を宿した瞳、いつもの相手を威圧する瞳とは違うが強く惹き付けるものがある。