そう言うとカルサは手摺りに足をかけ、二階から飛び降りた。

まるで風を操るかのように、ゆっくりと地面に降り立つ。

「行儀悪ないか、陛下?」

「用とはなんだ?」

普段いつ訓練しているのかと思わずにいられないほどカルサの身体能力は高い。

御劔は一般の人間よりも身体能力が優れていると聞いてはいるが、激務をこなし寝る間も惜しむ働きっぷりを見せる国王のわりに戦闘では前線に立つ。

やはり雷神なのだと聖は再認識した。

以前、魔物を結界内に送り込んだあの少女は確か宙に浮いていた。

やはり彼女も御劔、もしくはそれ同様の力の持ち主なのだろうか。

そんな疑問がよぎったが、聖は頭の中に留め本来の用事を済ますことにした。

「報告に一回戻っただけやねん。魔物を送り込むために壊された結界は直しといた。あとは確認の為に他のとこも見て回るわ。」

「そうか。」

聖の報告にカルサは頷いた。

そして考え込む。

結界を壊されるなんてまさかの事態、最初から全力でいかなかった自分の詰めの甘さを痛感した。