ハッキリ言って今日は疲れた。

自分一人なら勝手に自室に戻ってダラダラと寛ぐところだが、部下をどうするかが悩みどころだ。

何も言わず、黙って後ろに付いてきている可愛い直轄部隊の兵士たち。

まだまだ若い彼らには多少心が痛んでも厳しく指導するようにと聖から言われている。

いや、実際に聖から言われた台詞はちょっとえげつなかった。

“泣こうが喚こうが血ヘド吐くまで、胃液も搾り取る位の勢いで鍛えたってくれ。”

「おっそろしい男だよ。」

そもそも指導なんて出来る柄でもないのにと思いながら、ちらりと視線だけで背後にいる彼らの様子を伺った。

足取りも受け答えもしっかりしている、が、疲労の色が、濃い気がする。

いや、疲労はかなり蓄積されている筈だ。

「俺って絶対甘いよな。」

顎に手を当てて一応自分なりに深く考えてみた。

しかし最初から答えが決まっている貴未には大した時間は必要なかったようだ。

くるりと振り返り、もう一度彼らの姿を真正面から確認して頷いた。