サルスは静かに席を立ち部屋から出ていった。

「俺のせいで…。」

消えそうに呟いた声は部屋中に響き渡る。

苦悩から表情が歪んだ顔を隠すようにリュナを強く抱きしめた。

「ごめん…リュナ、ごめん…っ!」

自分を解放し求めた途端に彼女を巻き込んでしまったこと、予想は出来たがカルサは自分を責めずにはいられなかった。

やはり言うべきではなかった、求めるべきではなかったと何度も自分を責める。

どれだけ強く抱きしめてもリュナの目は開こうとはしない。

確かに聞こえる鼓動に喜びと後悔を抱くしかなかった。

これで眠れると胸を突きぬかれた瞬間に思ったのがいけなかったのだろうか。

やはり苦しみぬかなければ戒めからは解き放たれないのだろうか。

渦巻くカルサの思いは誰に伝える訳でもなく自分の中に溶け込ませる。

静かに目覚めた神は、再び戦いの日々に身を投じる事になった。

その切ない姿に誰も声をかけることができなかった。