「サルス…？」

ようやくサルスがここにいることを認識したのかカルサは目を開き驚いたような表情を見せた。

そしてその瞬間に全てを思い出していま自分の置かれている状況に気付いたのだろう、カルサは自分の胸を手で押さえるとあった筈の異物感に困惑をし始めた。

目を泳がし、ふと端に映ったものに目を見開き表情を変える。

「リュナ…っ！？」

まだ重く閉じられたままの瞼はカルサの声には反応しなかった。

息はしている、手を伸ばしてそれだけを瞬間的に確かめた。

「リュナも、お前と同じ様に封印されていたんだ。まだ目を覚まさない。」

サルスの声を聞きながら小刻みに震える手でカルサはリュナの頬に触れる。

その表情はどこまでも切なく、後悔と理不尽さから始まった感情はさまざまな色を含み複雑になってしまった。

「怪我は…？」

「…目立った外傷はないと聞いている。」

サルスに問いかけながらも目はリュナだけを見ていた。

ゆっくりと丁寧に抱き上げて自分の懐に彼女を収める、その姿は壊れそうに儚い。