小さな鼓動が全身に響き渡る。

その振動は光への道しるべにも感じられた。

あと少しだ、あと少しであの光に届く。

「カルサ？」

目に映るものは見慣れた天井、ちゃんと自分の目で見ているのにその感覚がまだ戻ってこなかった。

「カルサ。」

声をかけられるたびに戻ってくる感覚、彼は目覚めた。

ゆっくりと重い身体を起こして目に入ったその手を見つめる。

それは自分、指を動かし自分の意識があることを確認した。

握っては開く、そんな単純な動きをしているだけで思い出される記憶を辿り行き着いた先の答えに切なさを覚えてしまった。

まだ、生きている。

「お前は封印されてたんだぞ？」

サルスの言葉にゆっくりと顔を向けた。

心配そうな表情、色んな思いが頭の中を巡ってはいるがまだ気持ちが今の自分に辿り着かない。

瞳にサルスを映してはいるものの意識はまだ追いかけている途中だった。

やがて目に光が宿り、彼が本当にここに戻って来たことをサルスも悟る。