現にあの嵐の日の襲撃事件で彼女の働きは大きく感心を受けていたのだ。

レプリカはリュナの指示通りに玉座の間から離れる兵士や女官たちを守った。

それどころか的確な指示を出して人員配置まで行ったらしく、後に評価を受けていたのだ。

どうすればいいのか困惑する者を導けるだけの冷静さをあの場で持てるだけでも一目を置かれるのは当然か。

「…私の行動理由はお分りいただけたでしょうか?」

ただただ彼女の話を受け止めている周りの中で千羅と瑛琳、聖だけが無表情にレプリカを見ていた。

その視線に気付いている彼女は逃げもせず真っすぐに返す。

聖が微かに目を細めたことにもレプリカは気付いた。

「判断は任せるわ、千羅。」

瑛琳は小さな声ですべてを千羅に委ねる。

「問題がなかったのは分かったが、詳しくこちらで何が起こっていたかを教えてくれ。まずはそこから始めよう。」

千羅の言葉を合図にお互いの情報交換が始まった。

シードゥルサ側ではサルスがカルサになり国を治めていたこと、レプリカがリュナのフリをしていたこと、聖が結界を守り続けていたこと、カルサのいた祭壇に侵入者はなかったこと、だいたいの状況を話した。

また千羅側ではリュナの封印が解かれた状況や、なぜこんなに時間がかかったのか、日向との関わりなどを話した。