「ですが…ナル様のご助言があったのではないかと。」

その言葉に今まで沈黙を貫いていたナルの許へ視線が集中する。

そうですよねという思いを含めた視線を送るとナルは穏やかに微笑むだけだった。

「貴女の今までの働きがあってのものよ。」

互いに見つめあう二人に周囲の人間はなるほどそういうことかと納得の息をもらす。

「ナルとは知り合いやった?」

「いえ、こうしてお話しさせていただくのはこれが初めてです。」

つまりはレプリカとリュナの関係性をナルが気付いていたということになる。

「私も風神付きの女官探しをするまでは知らなかったことよ。もっともレプリカに風の力があることは気付いていたけどね。」

確かリュナに扮していたときのレプリカは何度か風の魔法を使っていた。

なるほど、それも要素に入っていたのか。

数年務めただけの女官に与えられるには重すぎる役だと誰もが思っていたのだ。

しかし女官仲間では大きな反対はなかったらしい、それは風神の傍を務めるにあたっての剣技の試験に彼女は素晴らしい成績で周囲を圧倒させたからだった。