手に戻せた象徴はまだその目を開かない。

カルサのベッドに二人を寝かせ、それを囲う様に彼らは並んだ。

やっと帰ってきた。

その嬉しさから誰も言葉を発せず、ただ眠る二人の姿を見ていた。

嬉しい、愛しい、沸き上がる感情は人々を笑顔にさせる。

まだその懐かしい声は聞こえてこないが、今はそれだけで十分だった。

「日向、座っていないで大丈夫か?さっき体調悪そうだったろう?」

一人少し離れた場所に佇む日向を一番最初に気にかけたのは千羅だ。

驚いたが日向は首を横に振り大丈夫だと告げた。

「何ともない。」

控えめに答える日向に視線が集まる。

それを機に一段落した事でそれぞれが抑えていた疑問が浮き出始めた。

「日向、だよな?初めまして、俺は貴未。カルサとリュナを助けてくれて本当にありがとう。」

緊張から反応が鈍くなった日向に貴未は握手を求めた。

「いや…えっと。どういたしまして…。」

いきなりの歓迎に日向は遠慮がちに手を差し出す。