しかし、彼に追い付く為には超える気持ちでいないといけないということは彼と関わって痛感したことだ。

強い眼差しを受けたのなら、それに負けないくらいの眼差しと気持ちで返さないとすぐに見放される。

求め続けなければ近くで役に立つことすら出来なくなる、それでは意味がない。

「ナル様、お任せください。陛下は私が必ず無事に帰還させてみせます。」

さっきとは全く違い、その目に迷いはない。

そんなリュナの言葉を受けてナルはにっこりと微笑んだ。

「ええ、お願いね。」

任せておけ、そんな気持ちでリュナは頷く。

「しかし…あなたたちって師弟関係みたいね。とてもお似合いに見えるけど、希望とはちょっと違うわ。」

手で口を隠しながら楽しそうにナルは笑った。

「楽しそうだな。」

「あら。残念そうの間違いでしょう?」

今度は頬に手を当てため息をつく素振りを見せる。

「私は早く孫の顔が見たいのよ。」

「まだ妃もいないうちから…。」