怖くてとても集団の方を見れなかった。

祭壇への階段を上りきると目の前には結界が施してあり、その奥に剣を胸に突き立てられた青年が横たわっているのが見えた。

千羅が足を止め、同じ様に日向も止まる。

「結界がある。今解くから待ってろ。」

日向が答えるまもなく千羅によって何重も施された結界が解かれてゆく。

ひとつひとつ、視界が鮮やかになりカルサの姿もはっきりと映されていった。

それに比例して日向の鼓動も速くなっていく。

またひとつ結界が解かれた。

「これで最後だ。」

最後の結界が解かれカルサへの隔たりがなくなった瞬間、日向の脳裏に急激にいくつもの映像が流れ込んで身体の感覚がなくなってしまった。

さっきみた断片とは量が違う。

あまりの多さにその反作用で思わず日向は態勢を崩してしまった。

「日向!!」

倒れそうになった彼を助けたのは千羅、日向の顔は青ざめ息も荒いことに気付く。