今まで強気で振る舞っていた彼らが恐れていることは、手遅れになっていないかどうかだった。

別の次元にいたのだからシードゥルサとの時間の流れ方は違う。

彼らは国に残ったカルサの仲間を信じて、ただひたすらに鍵と火の力を探し続けていた。

長い間カルサを見守っていたから分かる、彼らのカルサへの友情や信頼に賭けたのだ。

勿論揺るがずに彼らを信じている、しかしそれは彼らが生きていればの話だ。

もし時の流れが無情にも彼らに老いを与えていたら。

考え出すと足がすくみそうになる、しかし千羅の腕の中にはリュナがいるのだ。

奪われた者を取り返しに戻ってきた。

「行こう。」

千羅の声に瑛琳が頷き、前に出てシードゥルサに続く扉に手をかける。

その数秒の出来事が長く感じのは彼女だけではなかった。

瑛琳によって開き始めた扉の隙間から少しずつ光が溢れだす。

あまりに強い光に誰もが目を覆った。

まるで光に捕われたかのように身体が吸い込まれていくのを感じて力が入る。