聖は今日も結界の状態を確認するために外に出ていた。

光の神がいない今、この国は自分たちで守っていかなければいけない。

これが国王と神に頼りきった自分たちのツケなのだろうか。

だからなのか、サルスは軍事態勢の改善や自治体の役割を中心に再形勢を行なっている。

自分にはカルサの様な力はないから、何かあった時の為に国民を守れるよう国の力を増やしているのだ。

「国王であり雷神である人物を失うたんは辛いけど…何よりこんな姿のカルサを見てるんが一番辛い。」

一人を失ったことでこんなにも世界が暗く辛く思える。

自分の力の無さ、ふがいなさに紅はたまらず涙が出た。

貴未は紅に近寄り彼女の背中に自分の背中を合わせ少し強く彼女を押す。

「信じよう、千羅たちを。」

彼女の頼りなく曲がった背中は小さく震えていた。

声無く流れる涙は抑えきれない感情の表れだった。

「信じよう。」

思いも気持ちも顔も全て上に向けていこう。

未だ鍵を見付ける為に、未来を信じてやまない千羅たちを信じて。