「ん~?何が。」

「違和感あらへんか?うちらが気付いて、何でリュナだけサルスやいう事に気付かへんねん。」

聖水を結界ギリギリの所にまいて境界を清める。

撒き終わった空瓶をラファルに渡し、貴未はありがとうとお礼を言って彼の頭を撫でた。

「…俺なら気付けないかもな。」

「何で?」

「聖も言ってたろ?今のサルスは一昔前のカルサみたいだって。」

自分の全てを国の統制に捧げて、私室に居る時はスイッチが切れたみたいに動かなくなる。

ただひたすら睡眠を求めているだけの日々、まさに今のサルスの状態だった。

「俺、たまにサルスがカルサに見えて仕方ないことがある。リュナはスイッチの切れたサルスしか見ない訳だろ?」

普段とは違うカルサ、会話も少なく違う場所を見つける材料が少なすぎる。

そんな中で彼女は解るのだろうか、それとも。

「リュナは嵐の時、封印される前後の記憶を失っている。強制的にかけられた封印の魔法のせいなのか、精神的なショックからか。」

「…目の前でカルサの胸に剣刺されたんやったな…。」