総本山という言葉だけで御劔の雷神としての行動であると分かったこと。

立場に拘らず彼女本来の話し方で接していること。

ナルはみたい、ではなく本当に母親の役割を担っているのだ。

カルサもそれを受け入れているのだろう。

優しく暖かな空気に包まれる。

力を抜ける、そんな安らげる空間だった。

「留守を頼む。」

カルサの言葉にナルは頷く。

そして顔をあげて、今度はリュナの方を見つめた。

「あなたもよ、リュナ。」

予想外の展開にリュナは驚いた。

「自分を犠牲にする行動をしてはダメ。あなたが笑っている事がカルサの幸せなの。」

ちらりとカルサの様子を横目で確認したが、相変わらず感情が見えない。

ナルの言葉の真意が分からないが、おそらく深い意味がないのだろうと一瞬焦った自分を心の中でたしなめた。

「カルサを頼むわね。」

「頼むだなんて!私なんかまだまだ未熟で…。」

「それは頼りないな。」