「ごめんなさい、お話し中だった?」

「かまへん、カルサの様子見にきただけや。」

「そうなの。失礼します。」

傍に居る紅を前にして彼女はカルサに軽く挨拶をした。

明るい笑顔が暗い部屋の空気を変えていく。

当たり前のようにソファの横に座り、彼の目を覆っていた手をそっとはずした。

光を取り戻していく彼の視界に入ったのは、優しく笑う女性。

「リュナ…。」

「カルサ、大丈夫?お湯を持ってきたので目を温めましょうね。」

リュナの言葉にサルスは瞳を閉じる事で答えた。

リュナは微笑んでボウルにお湯を注ぎ始める。

そんな二人の様子を紅は黙って見ていた。

「ほな、うち行くわ。番はうちが代わるさかい、ゆっくり休んどって。」

「番?」

紅の声に反応したのはリュナの方だった。

きょとんとした顔で紅を見つめ、それは何かと求めている。

「ラファルの相手や。ほなな。」

そう言うと紅はひらひら手を振りながら部屋を後にした。