即位したばかりのあの幼き王はここまで立派になったのだと。

その表情はどこまでも穏やかだった。

膝の上で重ねていた両手から右手を上げ、カルサとリュナ、二人の目の前で弧を描く。

ナルの描いた弧から光が生まれ、やがて一枚のカードが浮かび上がった。

刀が描かれたカード。

三人の視線はそこに集中した。

「裏切りの刀…いつかあなたを襲う。」

「裏切りの刀…。」

ナルの言葉に先に反応したのはリュナだった。

リュナの目はカードに釘づけで、いま自分が声を出したことに気付いていない。

「出来る限り力を貸しましょう。思うようにしてきなさい。」

まるで母親のような言葉遣いにリュナは違和感を覚えた。

「雷神でもあるけど、あなたはこの国の王でもあるの。」

姿勢を正して軽く頭を下げる。

「無事のお帰り、お待ちしております。」

その時リュナは理解した。