鍵である日向なら彼をも解放できるだろうという事で、もう少しの間つきあってもらいたいのだと千羅は告げた。

「何故僕が鍵なんですか?」

その答えを彼が持っていると信じて当たり前の疑問を千羅にぶつけた。

しかし千羅は難しい表情を浮かべて首を横に振る。

「それは俺たちにも分からない。火の力と鍵は別物だと思っていたから。」

ゆっくりと、千羅は告げた。

そう、それは千羅自身も探している答えだった。

まさか火の力と鍵が同じとは夢にも思わない。

ではこれが何を意味するのか、それを考えずにはいられなかった。

ましてや渦中の人物は記憶を失っているという、それはあまりにも含み過ぎていて頭を抱えれるのならばそうしたいくらいだ。

「でも幸運といや、幸運なんだ。二つとも探していたからな。」

一度に見つかるなんて有難い、その思いは本当だった。

肩をすくめ、初めて見せる千羅の笑顔に自然と日向も笑顔になった。

意外と怖い人ではないのかもしれないと、単純だがそう思えて安心したのだ。