一つ終わればまた何かが生まれていく、溜め息を吐きたくなるような気持ちを押さえて千羅は前を見た。

焦っても苛立っても何もならない、出来るのはただ前に進んでいくだけ。

やっと手に戻した無くした欠片がここにあるのだ。

確実に前へと動いている、ただ今を受け入れて進んでいくだけ。

考えたところで予想を遥かに越えた展開が彼らを待ち構えてきたのだ。

リュナを連れた三人は、風通りのいい草原を走る川のほとりに腰を下ろした。

木陰の下、やわらかい草の絨毯にリュナを寝かせ瑛琳が傍で介抱をしている。

「御劔っていうのは簡単に言うと特殊能力を持つ人間の事を示している。俺なら大地、日向なら火。」

そう説明すると千羅は手をかざして自分の足元の大地を押し上げた。

急に起こった出来事に日向は悲鳴を上げ腰を抜かしてしまう。

悪い悪いと謝りながら千羅は大地を元に戻し、日向に起き上がるように手を差し出した。

「俺たちの精霊は自分たちの力と一体化しているから滅多に姿を現わさない。」

「そうなんですか。どうして?」