誘われるように湖に手をいれてみる。

すると痺れみたいなものを感じ青年はすぐに水から手を出した。

何かある。

それはすぐに分かった。

しかしそれを声にする前、突然風が吹き荒れ青年は突風にあおられて後方へと吹き飛ばされてしまったのだ。

あまりの突然なことになす術はなく岩場に身体を打ち付ける。

「痛ったー!」

鈍い音の次に発した声は絶好調に響き、彼の共である小動物はあまりの声の大きさに心配そうに彼を見た。

強くぶつけた肩を撫でながら、身体を起こして苦し紛れの笑顔を見せる。

「大丈夫。驚いたね。」

顔を上げた彼が最初に見たものは湖を守るように吹き荒れる風。

よく見ると風が何かの形を作っている。

顔がある、手がある、それは人の形のようだった。

「私の主人に近付く者は容赦はしない。」

「な、なんだなんだ?」

おそらく風の精霊であろうその者は、存在自体で青年を威圧してきた。