黙っていろ、態度でそう言われている気がしてリュナはそのまま口を紡ぐことにした。

その様子をナルは黙って観察している。

しかしカルサの歯切れが少し悪かったのをリュナとナルは気付いたのだろうか。

「何の為に?」

「現状を知るために。」

カルサの声は少し低くも強く響いた。

いつもより早口な気もする。

リュナは黙って二人の会話を聞いていた。

例え自分にとって分からない話でも、黙って聞く事に集中していたのだ。

カルサとナルはこの少ない言葉だけで通じ合えるほど情報を共有している。

お互いにまっすぐぶつかった視線を逸らさず受け止めていた。

この部屋の空気が、張りつめていく。

「オレの下に力が集まり始めた。黒の竜王が現れた。魔物がオレを狙いだした。オレを知る者が現れた。」

「皇子、のあなたを?」

「そうだ。」

カルサは今までの記憶を頭の中で振り返った。