徐々に周囲の景色が歪み始める。

反射的に貴未はサルスの肩を掴み、紅は貴未、聖は紅の肩を同じように掴んだ。

下っていた階段の景色が変わり、古ぼけた石垣の塔は美しい大聖堂へと姿を変えていく。

そんな様子は全く感じなかったのにいつしか階段はなくなり足場は広くなっていた。

「なんやこれ…。」

三人の心境を代表して紅が呟いた。

高い天井、階段を下りてきた高さそのままがこの大聖堂になっているようだ。

ちょうど目の高さまである階段を上れば祭壇なのだろう。

火を灯されたロウソクがかすかに見えた。

「カルサはあそこ?」

階段の向こうを指差し貴未はサルスに問う。

十中八九答えは分かっていたが、やはりサルスは静かに頷いて階段を上った。

三人もそれに続く。

少しずつ視界に祭壇が映し出され、緊張感が漂ってきた。

「結界が施されている、ここから先は進めない。」

登りきっただけで立ち止まりサルスは三人を止めた。