三人は自然と扉の方を見る、そこには部屋の主であるカルサの姿があった。

「サルス…。」

貴未の声に彼は哀しげに微笑んだ。

目の前に立っているのはカルサ、しかしその奥にいる彼の名前を呼ぶ。

サルスは止めていた足を進めて、ゆっくりと部屋の中へ入って行った。

歩き方も仕草でさえもカルサそのものだ、その信じられない光景を三人は黙って見ていた。

何も言わず寂しげな表情を浮かべて少しずつ近付き、そのままの速度で両手を広げて一番手前に位置していた貴未に抱きつく。

顔は貴未の肩にうづくまり、抱きついた身体は少し震えているようだ。

一瞬の驚きのあと、貴未は迷わずにサルスを抱きしめた。

「馬鹿だな、お前…こんなことして!」

やりきれない思いを言葉にすれば自然と腕に力が入る。

しっかりと抱きしめたサルスの身体が少し弱々しかったからかもしれない。

いつものカルサでなければ、いつものサルスでもなく、まだあの出来事に動揺や不安を抱えた内側のサルスがでていた。