誰にも怪しまれないように、少しずつ少しずつその姿を変えていく。

ナルの話ではサルスの瞳は昔から茶色だったらしい。

そこだけは変えなかった、彼の唯一の真実である瞳も今では金色に染まってしまった。

「ほんまに小さい頃から。あいつは影に徹してたんやな。」

カルサの為に自分の姿を消して、仮の姿で生きてきたサルス。

そして本当の姿を取り戻した時には自分の存在を消してしまった。

今までとこれからを自ら捨ててしまったのだ。

その強い意志がどこからくるのだろう、その思いを貫くにはどれほどまでの信念が必要なのだろうか。

知らなかったサルスの生き様に三人は言葉も見つからなかった。

その長い年月の一部分に自分たちの記憶が重なっている。

あの笑顔の向こう、鋭さを表に出さない彼の奥深くに確固たる信念があったなんて。

気付ける筈がない。

そんな容易いものではないのだ。

しばらくの沈黙が続いたあと、ゆっくり扉の開く音が部屋に響いた。