水晶玉に話しかけ、震える手を伸ばしそれを水の中に沈めた。

透き通る水に吸い込まれるように沈んでいく彼女を優しい表情で見送る。

何故か目が熱くなり涙が浮かんできた。

しかしその理由はジンロ自身がよく分かっている。

守れなくてごめんと、辛い思いをさせてごめんとずっと謝っているのだ。

目を閉じなくても思い出せるカルサのあの姿に歯を食いしばらずにはいられなかった。

もっと力があったなら、もっと気を付けていたなら、ずっと傍についていたのならこの事態を防げたかもしれない。

なにより。

「こんな時代にまで…持ち越してしまった俺たちを…。」

あの時すべてを終わらせることが出来なかった自分たちを許してほしいなんて口には出せなかった。

思い通りにことを回せない自分に腹も立つがそれ以上に見えない力に翻弄されて悔しい気持ちの方が強い。

カルサは守れなかった。

「せめて…リュナ、きみだけでも。」

ジンロの消えそうな声は鍾乳洞の中に響き渡った。