自分が結界を見ていても“その時”というものが解らない。

二人の動いた瞬間がスタートなのだと紅は判断をした。

この息を飲む時間がどれくらい経ったのだろうか。

何の前触れもなく、とてつもなく巨大な力が結界の中で放出された。

光が穴の空いた壁から勢い良く溢れる。

それだけで凄まじさが伝わってくるが、その力は空間さえも曲げる力のようだ。

それを抑えろと言わんばかりに、また一つ巨大な力が放出されたのも感じた。

現場にはいないのに感じる風圧に驚きが隠せない。

大きな力のぶつかり合い、その反動で城が揺れるほどなのだ。

時が近付いていた。

驚いている場合ではない、千羅も瑛琳も態勢を低くして身構えた。

力と力の反作用で結界に亀裂が入る。

「行くぞ!」

「ええ!」

亀裂を目掛けて同時に攻撃し、見事結界を破り光が乱れ溢れる中を走り出した。

向かう所はただひとつ。