「…それはお互い様でしょう?」

玲蘭華は口元に力を入れてヴィアルアイを睨み付けた。

それは彼女の反撃の合図。





「クソッ!!」

鈍い音と共に乱暴な声が響いた。

玉座の間に続く廊下の途中、そこで千羅は足止めをくらっている。

いくら剣で叩きつけても魔法を使っても物をぶつけても結界はものともしなかった。

「ふざけんなよ!!」

やけくそに体当たりをしたところで何も変わらない。

だが無色透明な結界を相手に焦りだけが募り居ても立ってもいられないのだ。

入り口付近の瓦礫の残骸、壁に空いた穴、何かあったと一目で解る光景に冷静でいられる筈がない。

これだけ強い結界を張れて、こんなことをする人物など心当たりが一つしかなかった。

「ヴィアルアイッ!」

怒り任せに両手で結界を叩く。

何も変わらないと分かっていても何かせずにはいられないのだ。