こんなに重い剣が当然のように垂直にカルサを貫いている。

まるでカルサの一部のように存在することがリュナには悔しくて堪らなかった。

目が熱い、色んな感情を持った涙が今にもこぼれそうな程に溢れている。

「カルサ。」

ジンロとの会話でどこか冷静を取り戻した彼女がそっと彼の口許に手を添える。

その仕草の意味がジンロにはすぐに分かった。

堪えていた涙がリュナの目から遠慮なしに流れだし、彼女は身を縮めるように背中を丸める。

「カルサ。…カルサ。」

リュナはカルサの頬を触れ何度も名前を呼びかけた。

おそらくその声は彼には届いていない。

その姿がとても痛々しくてジンロは目を細めた。

「この中に入ってこれるとは、さすがはジンロだな。」

可笑しそうに話すヴィアルアイは少しも痛手を受けていないようだ。

「ヴィアル…。」

カルサをリュナに託したジンロはゆっくり立ち上がり、視線だけで辺りの様子を伺った。